平成31年3月8日(金)第446号『ハカと戦車男』

現在、本学学生20名がニュージーランドで1か月間の短期留学に臨んでいます。

本号では、ニュージーランドから送られてきたリアルタイムな留学の様子を写真で皆さんにお伝えしたいと思います。

宮崎から羽田、成田を経由して、ニュージーランドのオークランド空港へ到着。

目的地のハミルトン市はここからバスで2時間ほどの距離。

本学の短期留学プログラムは、「異文化実習」という正課科目の1つとして実施されます。

それぞれのプログラムを担当する専任教員が配置され、事前・事後の研修や引率を行います。

写真は不自然なほどに学生をガイドするニュージーランド実習担当のビンガム先生です

LINEで送られてきたのでどういう状況かはわかりません)。

ニュージーランドでの短期留学プログラムは、ワイカト大学パスウェイズカレッジでの英語研修がメインです。

15時以降は自由参加のスポーツサークルや英会話クラブ、ワイカト大学の学生との交流イベントなどが行われます。

写真はボーリング交流会の様子です。

週末はラグラン海岸やロトルアなど、オークランド近郊の様々な観光地に出かけます。

写真は、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の撮影場所ともなったホビット村へのフィールドトリップの様子です。

  

今日ご紹介した写真はほんの一部であり、ニュージーランド研修のLINEグループには「セレモニーでの学生スピーチ誰にする?」「出し物どうしようか?」「今度のフィールドトリップはフィッシュアンドチップスがあるからランチは持ってこなくていいらしいよ」といった楽しそうな情報交換が活発に行われております。

 

国際交流担当の私は現地でのトラブルに備えてライングループに加えてもらっているのですが、楽しそうなやり取りを眺めながら安心しています。

  

そこにとても気になる書き込みが。

  

「今日ハカ見たけど」

  

おそらく彼女は墓地を訪れたのではありません。

 

 ラグビー界において世界最強のニュージーランド代表オールブラックスが試合前に踊るマオリ族の民族舞踊Hakaを見たのでしょう。

  

ハカをご存じない方はインターネット上で動画を見ていただきたいのですが、それはまあ勇ましい踊りです。

ハカは英語で”War Cry”と表現されるように、その起源はマオリ族が戦争の際に相手を威嚇し士気を高めるための「鬨の声」であったと言われています。

  

私は高校時代にラグビー部に所属していたのですが、大阪府の花園激戦区に出身高校が位置しており(全国大会常連の6校に囲まれていました)、練習も合宿も試合も壮絶な思い出がたくさんあります。

ラグビーを経験されたことのない方にはこの壮絶さがなかなか伝わらないかと思いますが、90kgくらいあるムキムキの大男が楕円のボールを持ち、50m6秒台前半くらいの尋常じゃない速度でこちらに爆走してくる様子を想像してください。

 

ラグビーの守備は1対1で対面する自分の相手を必ずタックルで仕留めなければ、防御ラインを突破され、大量失点につながります(トライされると一気に5点も失います)。敵前逃亡は許されません。

 

そこで我々に残された唯一の防御手段はタックルです。タックルというのは、90kg高速突進戦車男のヒザに自分の生身の肩をぶつけて相手の突進をストップするという離れ業です。

(最近は肩に衝撃吸収パットを入れるそうですが、1990年代半ばにはまだそのような優しい配慮がありませんでした)。

 

走ってくる相手のヒザに自分の肩を合わせるということは、必然的に自分の顔面を戦車男のヒザの前に投げ出すことになります。

  

これは怖い。ほとんど狂気の沙汰です。

世界有数の治安を誇る日本社会で、高速移動する戦車に顔面から対決を挑む機会ってありましたか?

「帰宅部の同級生が河川敷の堤防でのんびりとかき氷食べているときに、なぜ僕は戦場にいるのだろう」といつも自問自答していた気がします。

  

このような壮絶なスポーツだからこそ、ハカで相手を威嚇し自らを鼓舞する必要があるのです。

そして戦車男の突進から逃げることなく見事食い止めた者には、仲間から「勇者」の称号が与えられ、誇り高きチームの一員としてのアイデンティティーが形成されていくのです…

  

以上のラグビー観は私の偏見と誇張と脚色とノスタルジーが存分に含まれているので70%オフくらいでお読みいただけると幸いですが、LINEの「ハカ」の二文字を見て、いいなあ、僕も見たいなあ、ニュージーランド行きたいなあ、と改めて感じました。

いつもながら、大学生のうちに地球上を飛び回る学生たちが羨ましいです。

  

以上、妻から時々「話二倍盛り関西人」と呼ばれているグローバルセンターのコバヤシがお送りしました。