2013年5月24日(金)第177号 『学生生活の原初形態』

フランスの社会学者エミール・デュルケームによると、私たちの生活を「聖(非日常的で神聖なもの)」と 「俗(世俗的で日常的なもの)」に分節することが宗教の本質である。

このような聖俗二元論の観点から宮崎公立大学の学生生活を俯瞰すると、講義やゼミ、部・サークル活動、ボランティアやアルバイト等の俗空間の連続性の合間に、聖なる学生行事が効果的に配置されていることがわかる。本稿は、宮崎公立大学における聖なるスポーツ行事のフィールドノートである。

 

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5月18日土曜日、宮崎公立大学体育館において、学友会主催行事「春季スポーツデイ」が開催された。プログラムは昨年同様、午前中にTシャツコンテストと5人6脚、10人11脚、15人16脚、午後からミニバレーである(ミニバレーの奥深さについては本誌第129号に詳しい)。休日の土曜日であるにもかかわらず、全在学生の7割にあたる約600人もの学生が参加していることからも、本行事が大学社会を強く統合する機能を果たしていることがわかる。

 

 

1 Tシャツコンテスト

春季スポーツデイの参加者は、ゼミや部・サークル、あるいはバイト先の同僚や仲の良い友人同士で、6名~15名単位のグループを構成してエントリーする。Tシャツコンテストにおいては、所属グループの特性や思想をシンボリックに反映させたTシャツデザインのクオリティを競う。コンテスト会場にはレッドカーペットが敷かれ、Tシャツを着用したパフォーマ―とそれを評価するオーディエンスによって空間が構成されている。

神聖なるレッドカーペット。

パフォーマンスを採点するオーディエンス。

マイクパフォーマンスとともにウォーキング。

歓声の中、レッドカーペットを練り歩く。

二人一組で完成する凝ったデザイン。

 

お菓子を投げつけてくる。

中にはピンで勝負する1年生も。将来有望ですね。

ゼミグループでは、当然教員もパフォーマーに。

 

黒色の炭酸飲料を猛アピール。

「Tシャツを着ない」というTシャツデザイン。Tシャツの実存に根本的な問いを投げかける前衛的なパフォーマンス。たぶん。

あれ。

 

あれあれ。

 

なんかいっぱい来た。

 

BGMはソーラン節です。

真顔です。

 

一部始終真顔です。

 

コンテストていうか儀式でした。

 

 

 

2 ラジオ体操

大衆が騒然とする中、紅白の帽子を奇妙に着用した祭司が壇上に登り、目を見開いてあたりをにらみつけるように見渡している。

すると、祭司が突然首から下げていた笛を吹いた。耳をつんざくような高音が鳴り響き、あれほど騒然としていた大衆は水を打ったように静まり返る。極めてシンボリックな振る舞いだが内包されるメッセージは「黙れ、俺に注目せよ」でほぼ間違いなかろう。おもむろに壁面に設置されたスピーカーからピアノ伴奏が流れ、その場にいる参加者が自然に体を動かし始める。祭司の動きを模倣しているようだ。そう、ラジオ体操である。

 

ちゃんと体操してます。

 

 

3 ミニバレー

体育館全体のバドミントンコート6面を使用し、A~Fブロックに分かれてミニバレーのトーナメント戦を行う。

 

学生の懸命な返球を、その長身を生かしてあっさりブロックする田中学部長。

 

「これしきの運動、着替えるまでもないわ」と。

 

気になるあのチームも戦っています。

※注 ミニバレーをしています

 

※注 ミニバレーをしています。

600人がひっきりなしに試合をするので運営サイドは大忙し。

 

入賞チームには豪華景品が。

 

体育部長甲斐さんによる終了の儀。「今日スポーツに注いだ情熱を、明日からは勉学に注いで日々頑張っていきましょう。」 この一言に、スポーツデイの意義が垣間見えた。さすが。

 

 

 

 

スポーツデイの全参加者、いや、社会に生きとし生けるすべてのものへ祝祭のチアリーディングを捧げる応援部。彼女たちに応援されて元気にならない者などいようか。いや、いない。

 

非常に作為的な絵ですが、みんな楽しそうで何よりです。

 

女性職員チーム「日南どこなん」は、2試合で12点を取るという快挙を成し遂げましたが、まあ平たく言うと全敗です。

 

怪我等のトラブルゼロで立派に企画・運営を果たした学友会役員。お疲れ様でした。

 

見事Tシャツコンテストで優勝。最初誰が誰かまったくわかりませんでしたが、のちに判明したところによると、普段は真面目で清楚な女子学生たちでした。

 

 

 

5 まとめ

スポーツデイの参加者たちは、Tシャツコンテストでの笑いやスポーツデイの汗の向こう側に何か大きな価値を見出すとともに、思い切り笑ったり運動したりすることで、学生生活にアクセントをつけながら日々を楽しく生きている、ということでしょうか。来年もフィールドワークを続けたいと思います。

 

 

以上、2年連続スポーツデイの時に花金執筆順が回ってきたコバヤシがお送りしました。