平成27年7月3日(金)第276号『グループなワークとメカニックなワーク』

ジメジメした日が続き、陰鬱な気分になってしまいがちな梅雨のこの時期に、宮崎公立大学では快活な活動が行われている場所がありました。

雨。

 

雨、雨。

今回のハナキンでは、本学が平成26年度から導入した新しいカリキュラムの講義のうち、特徴的な科目の1つである「基幹演習A」(2年次前期必修科目)について、ご紹介します。

 

はじめに「基幹演習A」とは何かを説明するために、シラバス(講義計画書)を見てみると…

【概要】

グループワークを通じて、グローバル化し複雑化する地域の課題を発見し、その実践的解決策を模索します。

基幹演習Aでは、外部講師による2回の講演のなかで提示された、地域の具体的課題について、ゼミ内のグループワークを通じ、その現状や背景をさぐり、具体的な解決アイディアを模索します。

講演(第2回、第9回。全ゼミ合同)では、地域で活動している方をお招きして、地域をテーマにした講話をしていただきます。講話の中で、解決すべき具体的課題が1つ提示されます。

グループワーク(第3回~7回、第10回~14回)では、各ゼミ内で3~4程度のグループに分かれ、グループごとに解決策を考えていきます。ここでは、所定のワークシートを用いて、①解決のために必要な情報(単に現状だけでなく、問題の原因となる背景や解決策として優れた先進事例など)を的確に把握し、②論理的な思考力に基づいたディスカッション等を通じて解決アイディアを模索します。また、プレゼンテーションの準備も行います。

ゼミ内発表会(第9回、第15回)では、グループごとに考えた解決アイディアについてのプレゼンテーションと、ディスカッションを行います。

【到達目標】

①論理的思考力、情報収集力、情報整理能力等のアカデミックスキルを身に着ける。

②ディスカッション等を通じたアカデミックなコミュニケーションスキルを身に着ける。

③チームワークや責任感などの社会人スキルを身に着ける。

①については、基礎演習で身に着けた「読む力」「書く力」に加え、「的確にリサーチした情報を整理分析し、深く考える力」が、②については「異論をぶつけ合い、論理的に整理しながら共通見解を作っていく力」が、③については「常に全体の協力関係に目を向けつつ自分の役割を的確に判断し、責任を果たす力」が求められます。特に③については、他の演習以上に求められます。

…のような講義(演習)とのことです。

 

・・・かなり前置きが長くなってしまいましたが、早速、「基幹演習A」の様子を覗いてみましょう。

 

今回伺ったのは、ウメヅ先生が担当している「基幹演習A」のクラスです(この演習は8名の先生方がそれぞれクラスを担当されています。ちなみに後期には、「基幹演習B」という前期の講義を発展させたものが開講されます)。

この日の講義は、6月上旬に行われた宮崎市国際交流協会の方の講話、「地域に住む外国人への対応」の中で与えられた課題「日本語が不自由な外国人へ防災情報などをわかりやすく伝えるためにはどのような方法が考えられるか」について、学生が5~10名程度のグループに分かれ、グループワークを行っていました。

 

グループワーク中①。

グループワーク中②。

グループワーク中③。

今回の講義では、テーマ(講話)の中にどのような問題があり、それらはどのようにジャンル分けできるか、ということをKJ法(※)によって整理し、その上で問題の軸はどのようなものが挙げられるか、という活動を行っていました。

※KJ法‐「ブレーンストーミングを援用し、経験的事実から概念化・理論化を行うための方法。提唱した川喜田二郎の頭文字をとってこうよばれる。KJ法の作業は、個人が考えたり観察したこと、あるいは仲間が話したことなどを一事一項目単位でカードに記録していき、カードに書かれた各事項の親近性に基づいてグループにまとめたうえで、それぞれのグループ間の相互連関を考えて整理・統合するという過程で行われる。〔文献〕川喜田二郎『KJ法』1986.」(『新社会学辞典』からの引用、尾嶋史章、1993、「KJ法」『新社会学辞典』有斐閣、365)

 

その後、グループワークの成果をグループ別に発表し、それに関してウメヅ先生がそれらの成果に対して、良い点やより良くするための点について、それぞれ丁寧なコメントを行っていました。

 

グループワークに対して、コメント中。

 

今後は、今回のグループワークで浮き彫りになった諸問題について、どうやったらそれらが解決できるか、その対策案を検討していくとのことでした。

 

学生達は、基幹演習を通じて、課題を発見する力やそれらを整理する力、討論の方法、そして社会人として必要なチームワーク力をはじめとするスキルを身に着けていくことができるのではないでしょうか。

 

最後に。

宮崎公立大学では7月から学内の様々なシステムが新しくなりました。その一環として、事務局には証明書発行機が、大講義室等には出席管理システムが導入されました。

 

証明書発行機。ハイテクに見えて、実は外装が木材でありエコ使用。中身はパソコンやプリンタ、スピーカー等。

 

出席管理システム(遠景)。

出席管理システム。

私の学生時代にはこんなハイテクなものはなかったなぁと思いつつ、学務課4年生のアラキが今週のハナキンをお伝えしました。