国際交流

留学体験記<公費派遣留学>

バンクーバーアイランド大学(カナダ)<2019年9月~12月>
松岡さん(言語・文化専攻)

今回、私は公費留学派遣制度を利用し、カナダのバンクーバーアイランド大学に留学しました。派遣直前まで、中学時代から漠然と思い描いていた夢の海外留学に心を躍らせ、スーツケースにたくさんの荷物を詰め込んでいたことを今でも鮮明に覚えています。そのように少し浮かれていた私ですが、カナダに到着してからは英語を本気で学ぶ姿勢に切り替え、日々の英語学習に熱心に取り組みました。なぜなら、私がカナダを留学先に選んだ理由は、主に男女平等意識に関する知見を得ることと、語学力を向上させることにあったからです。実際に、約4ヶ月間の留学でこの2つの目標を達成し、そのことを報告書に書こうと考えていました。しかし、このカナダ留学を振り返った時、私はその他にも大切なことをたくさん学んだことに気づき、それこそが今回の留学の醍醐味だったように感じました。そこで、今回の報告書では主に私の人生を豊かにしてくれた2つの学びについてまとめようと思います。

まず、心に余裕を持つことの重要性です。留学当初、私は語学力を高めるために現地で日本語を使うことを極力避けていました。そのため日本にいる友人と連絡を取る頻度も減り、会話するのはホストファミリーかクラスメイトくらいでした。確かに、ストイックに英語学習を行うことは悪いことではありませんが、当時私は日本語を話すことに罪悪感を覚え、同時に思うように上達しない語学学習に思い悩む日々を送っていました。そんな時、クラスメイトの中国人留学生と休日出掛けることになり、私は異文化に馴染む大変さや言語を習得できないストレスを彼女に打ち明けました。すると、疲れきった私を見た彼女は、その日の夜日本食を食べに連れて行ってくれました。そして、彼女は私と一緒に日本食を食べて息抜きすることの大切さを教えてくれました。その時初めて、意図的に母国に関わるものを避けていたことが逆効果になり、自分を苦しめていることに気づきました。それから私は適度な息抜きを日常に取り入れ、残りの留学生活を楽しもうと決め、つらい時は日本にいる友人に相談したり、クラスメイトと寿司を食べたりすることによって生活の質を高めていきました。そのおかげで、精神的に悩むことは減り、語学学習のスランプを脱することが出来ました。

次に、第二の家族のぬくもりです。これはホストファミリーとの生活から学びました。私のホームステイ先は子育てを終えた熟年夫婦で、毎週水曜日にきまって姪っ子が夕食を食べに家に来たり、祝日は息子夫婦を呼んで家でホームパーティーをしたり、と愛にあふれた優しい2人でした。留学当初から、彼らは私を本当の家族かのように暖かく迎え入れ、困ったことがあれば親身になって話を聞いてくれました。カナダに来て2週間経ったころ、私はうまく新しい環境に馴染めないことに病んでしまい、休日は家に籠る生活が続きました。友人に誘われても外出に前向きになれない私に、ホストファミリーは「断ることも社会で大事なスキル。気が向いたら行くと良い。」と私の気持ちを尊重してアドバイスをしてくれました。その時2人が私のことを見守っていてくれたから、後日私は自分の気持ちに整理をつけ、他のクラスメイトと関わっていこうと立ち直ることが出来ました。また、ホストファミリーは毎日昼食とデザートを準備してくれました。テスト前などは、ホストマザーが応援の手紙を一緒に添えてくれたり、私の好きなフルーツを入れてくれたりしたので、集中して学習に取り組むことが出来ました。ホストファミリーとは約4カ月間しか一緒に生活していませんが、我が子のように接してくれる姿が私の両親に重なり、とても温かい気持ちになりました。

私はこれらの経験から、いつも心にある程度の余裕を持ちながら生活し、困っている人がいたら、他人でも優しく寄り添える人になりたいと思うようになりました。初めての留学で期待と同じくらいの不安を抱え、頼れる家族や友人が離れている状況でも、このように優しい人々が傍に居てくれたからこそ、私は無事この留学を終えることが出来ました。個人的には、この留学の目的である語学力向上と研究内容に関する知見の収得を達成できたことも大事ではありますが、この気持ちの変化はこれからの人生を歩んでいくうえで最も重要な収穫だったように感じます。そこで、今後はこの公費交換留学で得た経験を活かし、バックグラウンドが異なる人でも親身になって手を差し伸べたいと思います。

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