国際交流

留学体験記<公費派遣留学>

バンクーバーアイランド大学(カナダ)<2022年12月~2023年4月>
小濵あゆみさん(メディア・コミュニケーション専攻)

私は、2022年12月26日から2023年4月23日までカナダのバンクーバーアイランド大学(VIU)に留学していました。派遣留学を検討し始めたのは2022年1月後半で、3年生の終了と同時に就職活動を本格化し始めた時期でした。迷いはあったものの、私は二度とない機会を利用したいという気持ちが強く、派遣留学への応募を決めました。  留学における私の大きな目標は、①各プログラムを最高成績で修了することと総合的な英語力の向上、②カナダ・バンクーバーアイランドでの文化体験を通して視野を広げること、の2つでした。この二つの目標を達成するにあたり特に注力したことや印象に残っていることについて報告します。

まず①に関して、VIUのESLプログラムはレベル別に5つのクラスに分かれており、私は4つ目のUniversity Preparation 4の各タームに参加しました。学校の授業や課題以外で、個人的に面白く、英語力向上にも役に立ったと感じているのは、ホームステイ先でのホストマザーとのドラマ鑑賞と夕食時の会話です。ドラマ鑑賞は、できるだけ自室にこもらないようにするため、夕食後にドラマを見ていたホストマザーと一緒にテレビを見るようになったことがきっかけでした。刑事ドラマや医療ドラマなどが毎日放送されており、海外ならではの派手さと豪快さのあるドラマ達にすぐ夢中になり、用事がない時や課題を終えた後はいつも見ていました。ドラマやCMを通してリスニング力の向上はもちろん、ホストマザーと感想を言い合うことで会話の練習にもなり、更に海外メディアの日本とは異なる特徴を学ぶこともできました。夕食時の会話については、初めの頃は話すネタを事前にいくつか考えておき、それを基に会話できるようにしました。その日行ったことやテストについて話したり、色々な相談にのってもらったりする中で、リスニング力に加えてシチュエーション毎に使う英語フレーズが身につきました。また、この時間は、ホストマザーやその友人、ハウスメイトとの会話から、カナダでの生活や仕事に関する話をはじめ、英語の複雑さや宗教観などについても学ぶことができる貴重な機会でした。現地での生活やホストファミリーとの交流を通して、カナダの生きた英語に触れることができたと感じています。こうした交流を重ねながら、授業や課題にも積極的に参加し最終的にプログラムをグレードAで修了することができました。

②に関して、留学前と比較して捉え方が変わったものがいくつかあります。1つ目は、英語学習をする理由です。留学当初、ホストファミリー達やネイティブスピーカーの話についていけなかった時や、他国からの留学生が同じグループ内で母国語を使って話していた時は、同じ空間にいるのに同じ空気を共有できていないことに、とても心細さを感じました。特に、ほとんど理解できないという状況の時は、日本で日本語を使って話していた時には感じることのなかった疎外感を感じました。相手の言葉を理解できないことの寂しさや悔しさを、カナダに来て初めて身をもって実感したように思います。それから、英語話者同士の話をより深く理解し、同じポイントで笑い合い、会話を楽しむために英語力を向上させたいと考えるようになりました。元々英語学習は好きでしたが、英語をコミュニケーションの手段として「使う」ことへ意識が向かい、英語学習のその先を捉えるようになった点は、自分の中で大きな変化でした。また、抽象的ですが世界は広くて知らないことがまだまだたくさんあるということを痛感しました。カナダの先住民であるファーストネーションの歴史について学んだり、各国から留学に来ていた友人たちのバックグラウンドを聞いたり、カナダに住む日本人の方々のお話を聞いたりする中で、様々な価値観に出会いました。特に、カナダで学位を取り就職すると言っていた中東の国出身の友人が「自分の国の情勢はひどいけれど、国にいる家族や友人たちが恋しいし大好きだ」と涙を流しながら話してくれたことが印象に残っています。私はこんな風に自分の国が置かれている状況を見つめ、大切な人について想ったことがあっただろうかと考えさせられました。私のように、自ら行くことを選んでサポートを受けながら来た人もいれば、彼のように必要に迫られて来た人もいて、自分がこれまで見えていなかったものに気付かされたように感じました。更に、授業の場やホームステイ先でよく「あなたの意見は理解できる。私はこうも言えると思う」といった、一度相手の意見を受け入れ認めてから自分の意見を言うシーンをよく見かけました。色々な背景をもつ人が集まる場所では、全員に共通する常識や当たり前のことはなく、だからこそ自分の常識を押し付けず、相手の意見を尊重する文化があると身をもって実感しました。相手と自分は違う背景をもち価値観も違うのだということを前提として理解していることが、カナダに住む人々のコミュニケーションの根底にあるのではないかと感じました。

4カ月の留学を振り返ってみると、留学が延期になったり、ホストマザーと衝突したりと挫折や失敗、後悔も多々ありますが、その一方でボランティアに参加したり、学校の様々なイベントに参加したり、友人たちと旅行に行ったりと、留学を決めなければ出会えなかったものに触れられた経験は私の糧になっています。多くの人に助けられ、与えてもらったおかげで、留学生活を無事終えることができました。私自身も次に留学されるかもしれない公立大生の皆さんや他の誰かのサポートを少しでもできるように、この体験を活かして英語力も人間力も成長させていきたいと思います。

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