国際交流

留学体験記<公費派遣留学>

ワイカトカレッジ(ニュージーランド)<2022年8月~2023年1月>
里山素蘭さん(メディア・コミュニケーション専攻)

私は約4か月間、ニュージーランド・ワイカトパスウェイカレッジに留学した。2022年8月~9月中旬までの約1ヵ月半を日本からオンラインで受講し、その後10月末にニュージーランドへ渡航、そこから3か月という月日を現地で過ごした。この報告書では主に、ニュージーランドで過ごした日々に焦点を当て、自身が経験したことや考えたことを記していく。

はじめに、今回留学した目的についてである。私は高校の英語教師になることを目標としてきたため、生徒に共有できる海外経験を得たかったこと、自身の英語スキル(特にスピーキング)を向上させたかったことなどが主な目的だった。

次に、留学について述べていく。海外経験はなかったため、ニュージーランドに到着後の外貨両替、検査・手続き、携帯のSIMカード変換といったすべてのことに緊張していた。空港での手続き後は早速ホストファミリーの家に向かったが、日本とは異なる信号や道路標識、よく海外ドラマで見るような大きな家、放牧された大量の羊など、目に入る1つ1つのことに胸が高揚したことを覚えている。私のホームステイ先は台湾人家族で、ホストマザー1人とホストシスター1人、さらに1人のフィリピン人女性が訳あって同居していた。出会ってすぐマザーが家を案内してくれたが、時節彼女の声から緊張している様子が見えた。そのとき、ホームステイは学生側だけでなく、受け入れる側も"見ず知らずの学生を受け入れる"という勇気と覚悟をもったうえで引き受けていることを実感し、その気持ちに応えるためにも、学生側も常に感謝を忘れずしっかりファミリーの一員としての役割を果たしていく必要性を学んだ。その後、1日目のうちに家でのルール、皿洗いや洗濯の仕方、キッチンの使い方などについて確認を済ませ、そこから3か月は出来る限り自分のことは自分で行うよう心がけた。

渡航後はすぐに語学学校が始まったが、日本人留学生の多さに非常に驚いた。それに加え入学後1週間でワイカト大学の学生は期末試験、そこから春休みに入ったため、現地の友達づくりに悩んだ。人伝てや参加したイベント等で複数の知り合いはできたものの、2度目、3度目に会うには至らなかった。新しく現地での知り合いをつくりたかったことと、公費留学生として地域に貢献したかったことから、学外のコミュニティーを探し、日本語を教えるボランティアへの参加を始めた。しかしその後もなかなか状況は変化せず、「仕方ない」と思うようになり、学校で出会った日本人の友達と過ごすことが多くなっていった。そんな状況で渡航から約1ヵ月が経とうとしていた頃、久しぶりに公立大の友達とビデオ通話をすることになり、自身の状況について相談した。その際、彼らからアドバイスや刺激をもらうことができたことで、「環境は変えられないけど、自分次第で状況は変えられる」という気持ちに切り替えることができ、その日から自分でも自覚できる程に積極的になることができた。例えば1度会ったことがあり、もう一度話したいと思っている人に片っ端から連絡を入れ、2度目、3度目の機会をつくっていったり、同じバスから降りたおじさんに話しかけてみたりした。さらに、困っている様子の人には自分から話しかけ、人助けをするようにもなった。実際に道案内をしている中で仲良くなり、連絡先を交換し何度も会うようになった友達もいた。なかでも特に仲良くなった友人が、一緒の家に住むフィリピン人の女性だった。彼女とはずっと話してみたかったものの、訳がありなかなか話しかけることができない状況が続いていた。しかしタイミングを見計らい、勇気を出して遊びに誘ったことをきっかけに、彼女との距離を一気に縮めることができた。それからは毎日一緒に運動をするようになり、ホリデーや週末は一緒にショッピングや映画を見に行った。彼女の家族にも会いに行き、家族だけのクリスマスパーティーに招待もしてくれた。誰に対しても明るく、親しみをもって接する彼女の姿から、人との接し方や人を思いやる心、ポジティブな考え方などの多くのことを学ぶことができた。また、日本語ボランティアで知り合った、ニュージーランドで子育てをする日本人女性の方々にも、よく遊びやご飯に呼んでいただく機会があった。そこで出会った様々な方の生き方を知り、自身の生き方に対する考え方も変化し、再び進路を考え直すきっかけとなった。

この留学では、自身の語学力を向上させたいといった目的が主だったものの、それ以外の見たものや感じたもの、考えたもの、さらにその過程で出会った多くの人々が大きな収穫だったと考える。留学前に行きたいと考えていた観光地や場所の多くには行けなかったが、その分たくさんのニュージーランドに住む人々と関わることができた。帰国前の1週間には、多くの人に声をかけてもらい、放課後は毎日たくさんの友人と食事をした。「またニュージーランドに来たときは、すぐに空港まで迎えに行くから連絡して!」と言ってくれた友人、実際に現在、日本への旅行を計画してくれている友人や、「アメリカに絶対に来て」と引っ越し先のアドレスを渡してくれた友人など、心からもう一度会いたいと願う人が想像以上に多くできたことが、この留学で得た1番の財産である。留学中はいいことばかりではなく、この報告書には書いていないような困難も多くあった。しかし現状に留まらず、なんとかしようと悩み続けたこの3か月が、さらに私を成長させたと考える。最後に、これから公費留学を考えている学生、控えている学生に、この報告書を通し、最後まで自分なりに試行錯誤することの大切さを伝えることができたなら誠に光栄である。

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