宮崎公立大学では、教員が専門分野を活かして「自主講座」を行っています。
令和4年度後期に実施した6つの講座についてご紹介します。
【音声表現講座「朗読はバクハツだ!」】
11月10日(木)、17日(木)、24日(木)に、西村 勇 特任教授が企画し、NHK放送局でもご活躍なさっていた元NHKアナウンサーの杉尾宗紀氏を講師に迎え【音声表現講座「朗読はバクハツだ!」】を行いました。
受講者は、朗読の題材として「チェコSF短編小説集」(平凡社)の中から、ヤロスラフ・ハシュク/Jaroslav Hašek (1883-1923)作「オーストリアの税関」を用いて、朗読爆発のための四箇条として下記に留意しながら朗読を行いました。
①自分の本来の豊かな声で 大声X無理しない小声から
②日本語の9割9分は母音 滑舌は母音が解決する
③朗読はどこで切っても自由「どこで切るか」で個性が爆発
④作品を味わいながら読む テイスティングが読みの極意
以上のことを実践することで、プレゼン力を目指した講座になりました。
少人数の講座でしたが、講師からは、「自分の声探しをして、プレゼンのベース作りを目指すという「無謀」な講座にもかかわらず、受講生に恵まれ、初日と最終日の声と読みの変わりようはまさに確変でした。自分の声探しは、自分のコアを見つめること。その上で文章のどこで切るかを実践する事で、自分の個性を発揮することができる、つまりオリジナルな自己表現に繋がります。朗読は対人能力アップの近道だと、改めて確認出来ました。」とコメントをいただき、受講者の 講座後のアンケートでは「読み方の練習を重ねていって読み味わうことを大切にしていきたいです。今後、また機会があったら参加したいです。」、等の感想をいただきました。
【教育機関・地域と連携した防災教育(第12回ストリートウォッチング)】
11月16日(水)、12月6日(火)、8日(木)に、辻 利則 教授が【教育機関・地域と連携した防災教育(第12回ストリートウォッチング)】を行いました。
内容は、事前授業において、地震や津波、洪水など災害時に必要な心構え、特に普段から考えておくべきことについて学び、その後、実際に地域を調査します。地域調査では、危険箇所や災害時に重要となる避難場所などを知るために地域住民の方と一緒に歩き、過去で災害など様々な話を聞きます、本学の学生も、サポート役として地域の方に同行する形で参加しました。
【「子どもの貧困」を考える】
12月3日(土)に、寺町 晋哉 准教授が企画し、講師に一橋大学大学院生の栗原和樹氏、東京都立大学大学院生の梶原豪人氏を迎え、【「子どもの貧困」を考える】を行いました。
「子どもの貧困」について、教育社会学の視点から研究されている講師の、梶原豪人氏は「子どもの貧困と学校生活:地方自治体による子どもの貧困実態調査の結果から」、栗原和樹氏は「教師は貧困をどのように捉えているのか」というテーマで話題提供を行い、各テーマにつき50分の話題提供の後、受講生からの質問・意見に講師2名が回答し意見交換を1時間ほど行いました。
講座後のアンケートでは「大変貴重な機会をありがとうございました。かなりへき地の中学校に勤務しておりますが、僻地には、片親世帯がかなり多いように思えます。別れ、子どもを連れて地元に戻ってくる方が多いそうです。そういう状況のなかで、この講座に参加し、とても勉強になりました。どのように対応していくべきか、考えさせられました。ありがとうございました。」、「今回の講義で学んだことは、貧困だけでなく、その他の社会問題と教員の関わり方において応用できるのではないかと考えました。他の参加者の方の意見も聞くことができとてもおもしろかったです。」等の感想をいただきました。
【ストレスと上手に付き合う心理学~困難を乗り越えるために~】
2月21日(火)に、川瀬 隆千 教授が【ストレスと上手に付き合う心理学~困難を乗り越えるために~】を行いました。
講座は2部構成で行い、第1部「ストレスとは何か」では、セリエのストレス学説、ホームズとレイの精神医学的ストレス理論、ラザルスの心理学的ストレス理論について説明を行い、第2部「ストレスと上手に付き合う」では、ストレスプロセスとコーピング、ストレスプロセスを媒介するソーシャルサポートや楽観的説明スタイルについて説明し、ストレスと上手に付き合う方法を考えました。
また、ストレス関連成長とそのプロセスについても触れ、ストレスのポジティブな面についても説明を行い、理論的な話ばかりでなく、ストレスの少ない県は? サルも温泉でストレス解消? 笑顔がストレスを解消する?などの話も取り入れて行いました。
高校生も数多く参加していただき、講座後のアンケートでは「ストレスと上手に付き合う方法を楽観的・悲観的から知ることができて良かった」「自己分析を書き出すのは私もするので良い方法だと思います」「車の中や歩きながら独り言を言っているのですが、書くことと同義になっているのだと気づきました」等の感想をいただきました。
【宮崎と文学―遠藤周作「無鹿」を読む―】
3月5日(日)に、楠田 剛士 准教授が【宮崎と文学―遠藤周作「無鹿」を読む―】を行いました。
宮崎を舞台にした小説である遠藤周作「無鹿」を取り上げ、「無鹿」のあらすじと、作者遠藤の略歴を紹介し、そのなかで「無鹿」の初出と初刊に本文異同があること、代表作である「海と毒薬」「沈黙」「深い河」と同じように「無鹿」も現地取材に基づく創作であること、「無鹿」と同時期に書かれた「王の挽歌」でも大友宗麟が取り上げられているが、最近の研究や発見された未発表原稿などから、より以前から無鹿という場所に遠藤が関心を示していたことなどを説明しました。
次に小説の舞台となった宮崎市の料理店「杉の子」について、実際の写真を使いながら、遠藤を案内した店主の回想やエッセイなどから、遠藤が食した料理が今でも食べられることを説明しました。
また、延岡市の「無鹿」についても、実際の写真や動画を用いながら、小説の表現との対応関係を示して、遠藤が見たものと変わらない風景を今でも見ることができること、遠藤が来県し小説を書いたことで無鹿は大友宗麟・西郷隆盛・遠藤周作が結びつく新しい風景が生まれたことなども説明しました。
講座後のアンケートでは「無鹿がどのように誕生したのかが分かり、とても感動しました。」、「現在の実際の映像等でとても分かりやすかった。島津、大友、西郷にも興味あるので是非訪れたいと思います。」等の感想をいただきました。
【地域伝承と地域創生―地域伝説を手掛かりに―】
3月18日(土)に、永松 敦 教授が【地域伝承と地域創生―地域伝説を手掛かりに―】を行いました。
大宮地区に伝わる伝承 下北方町の景清伝説・池内町の宮崎城にまつわる歴史物語を、紙芝居を通して、次世代に伝承する試みを実践するもので、今回は上記2種の紙芝居に、大宮中学校美術部が制作した「神武様ものがたり」を公開しました。
後半は、地域住民2名(下北方東自治会会長 野中氏、池内宮崎城クラブ会長 椎氏)と宮崎大学地域資源創成学研究科講師の鈴木氏、画家の水元氏を交えて、地域伝承を次世代にどのように伝えることが望ましいかについてシンポジウムを行いました。
会場は、大宮地域事務所の関係者をはじめ、地域住民、まちづくりに取り組んでいる方々で賑わい、多くの意見等が出され、活発な質疑応答が行われました。
宮﨑公立大学では、令和5年度もいろいろな講座を行います。ご興味のある方は本学ホームページをご覧ください。