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教育研究

阪本博志准教授が編集・解題した大宅壮一著『編集復刻版 サンデー時評』が出版されました。

2020年12月11日

 本年11月22日の大宅壮一没後50年を記念して、本学の阪本博志准教授(専門:大衆文化・出版文化論)が編集・解題を務めた大宅壮一著『編集復刻版 サンデー時評』全2巻が、刊行されました。
 本書の概要について、インタビュー形式にてご紹介します。サンデー時評表紙

  

-書籍の概要を教えてください。

 大宅壮一(1900~1970)が亡くなり、本年11月22日で50年を迎えました。『編集復刻版 サンデー時評』全2巻は、この没後50年を記念して刊行したものです。
 具体的には、大宅壮一の晩年の重要な連載である「サンデー時評」(『サンデー毎日』1965年10月17日号~1970年11月1日号)全244回を原寸大で編集復刻し、私が作成した「解題」ならびに「主要人名索引」を付したものとなっています。
 『大宅壮一全集』では、「サンデー時評」は190回分の収録にとどまっており、全244回の完全な単行本化は初めてです。さらに、『大宅壮一全集』など大宅壮一の著作集にはこれまで索引がございませんでした。それに対し、本書の「主要人名索引」は、マルクス、レーニンから、吉田茂、佐藤栄作、美濃部亮吉など、大宅壮一が言及した700名を超える主要人名を網羅しています。

-「大宅壮一」に焦点を当てた理由を教えてください。

 1920年代に編集・評論活動を開始した大宅壮一は、1950年代から1960年代にかけて新聞・雑誌(月刊誌・週刊誌)・ラジオ・テレビと各メディアを横断して活動し、「マスコミ四冠王」「マスコミ四天王」と呼ばれた、国民的評論家として活躍しました。それにもかかわらず、戦後の活動については研究が乏しい状況がございました。このような背景から、大宅壮一のライフヒストリーを踏まえたうえで戦時中から戦後にかけての活動を中心に論じた、大宅壮一をテーマにした初の学術書である拙著『大宅壮一の「戦後」』(人文書院)を2019年11月に上梓いたしました。

-「サンデー時評」での大宅壮一の評論は、国内外の様々な事象について幅広く取り扱われています。先生が読者に特におすすめしたいページはどこですか。

 全体を通読していただくと、大宅壮一の評論の集大成ともいえる、非常に面白い作品であることがおわかりいただけるかと思います。
 その一方で、大宅壮一の20万冊にのぼる蔵書(雑誌約17万冊、書籍約3万冊)を基盤に1971年5月17日に開設された公益財団法人大宅壮一文庫のホームページでも紹介されていますように、大宅壮一は生前「本は読むものではなく、引くものだよ」と言っていたというエピソードがあります。これにひきつけますと、上記「主要人名索引」を用いて、ある人物や出来事を大宅壮一がどのように論評していたのかを知るという活用のしかたもできるかと思います。

-この書籍を通じて、読者に伝えたいメッセージは何でしょうか。

 上記の拙著『大宅壮一の「戦後」』が、大宅壮一を論じるための土台を提供したものだとするならば、『編集復刻版 サンデー時評』全2巻は、大宅壮一が遺した時評をどういかすかという点から刊行したものです。本書をご活用いただけましたら幸いです。

-最後に、一言お願いします。

 『編集復刻版 サンデー時評』全2巻を刊行するにあたりご理解・ご協力をくださいました皆様に心より御礼申し上げます。
 また、この研究の遂行にあたりまして科学研究費補助金の助成をいただきましたことに深謝いたします。

  

なお、版元による本書の紹介ページについては、こちらからご覧いただけますので、あわせてお読みください。

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