2009年12月11日 第21号

イルミre

 12月5日土曜日、夜の街。この時期独特の浮足立つような空気の中、きらびやかなイルミネーションをくぐりぬけて、僕はとある居酒屋に向かった。宮崎公立大学での学生時代を共に過ごしたゼミ生達との忘年会だ。もう大学を卒業してから8年以上経つが、今でも同級生や先輩後輩のつながりは絶えない。今回の忘年会も、先輩の突然の呼びかけにもかかわらず、8名のOB・OGが参集した。

 

 

 MMUの卒業生は、英語教員になる人が多い。同窓会長から聞いた話によると、ある県立高校の今年度の1年生の英語担当者は、全てMMUの卒業生で占められているという(同窓会長もその1人だ)。そして今回の参加メンバーのうち3名は中学校の英語教員。しかも、その中の2人は昨年まで同じ学校に勤め、同じ部活の顧問を担当していた。

 

先輩後輩re

 説明不要かもしれないが、写真左が先輩で、右が後輩。

 

 

 先輩は(見るからに)リーダーシップをとって生徒をグイグイ引っ張っていくことが得意なタイプ。僕も学生時代に大変お世話になり、人生のイロハを教えてくれた人だ。

 一方で後輩は、優しさと丁寧さと笑顔で生徒の信頼を得るタイプ。僕が所属していた軽音楽部の後輩でもあり、僕が人生のイロハを教えた人だ(嘘です)。

 

 

 先輩は持ち前の熱意とリーダーシップで、勤務校の吹奏楽部を県内でも有数の実力校へと育て上げた。その中学校へ、教員1年目の初任者として後輩が配属されたのが去年の4月。先輩が正顧問、後輩が副顧問として、強豪吹奏楽部をさらにハードに鍛え上げた。

 

 

 そして今年の3月末、先輩の人事異動が決定し、吹奏楽部の正顧問の役割は、文字通り先輩から後輩へと引き継がれた。後輩にとって物凄いプレッシャーだったことは想像に難くない。生徒の目、保護者の目、他校の吹奏楽部の目。周囲のすべての人間が、彼女と偉大な先輩を比較するのだ。それでも彼女は自分なりの方法論を模索し続け、懸命に指揮棒を振り続けた。

 

 

 その成果が試されたのが今年の7月に開催された宮崎県吹奏楽コンクール。彼女率いる吹奏楽部は、見事プレッシャーをはねのけ金賞を獲得した。部員達との衝突もたくさんあったという。特に前任者を知る上級生は、顧問の変化に戸惑い、時には反発した。それでも彼女は生徒を信じて、生徒も彼女を信じて、ひたすらに練習に励んだ。金賞は、その信頼関係の証だ。

 

指揮2re

 今年の11月、3年生部員の最後の演奏となる定期演奏会が開催された。彼女と部員達は涙をこらえながら最高の演奏を披露し、会場に集まった保護者や地域住民の惜しみない拍手を受けていた。

 

 

 

 そんなドラマを経て忘年会で再会した先輩と後輩。教育談義を肴に飲み交わしているのが冒頭の写真です。2人のトークは我々を巻き込み、教育や人生についての議論が白熱して夜は更けていくのでした。

 

 大学を卒業して社会人として生きていく中で、人間は必ず困難にぶち当たります。そんな逆境の中で、励まし合い、相談し合い、報告し合い、笑い合える仲間がいるというのは本当に素晴らしいことです。アットホームが身上のMMUで、素敵な関係性をたくさん築いていってください。 

 

 

 以上、トルストイや三木清くらい人生論が好きなコバヤシがお送りいたしました。